【留学生教育研究会 会場&オンライン ハイブリッドセミナー】外国人人材と高等教育の役割~ポスト留学生受入れ40万人~

▼ プログラム概要

名 称留学生教育研究会(会場&オンライン ハイブリッドセミナー)
「外国人人材と高等教育の役割~ポスト留学生受入れ40万人~」
日 時2025年12月4日(木) 13:05~16:30
会 場主婦会館プラザエフ
主 催一般社団法人外国人留学生高等教育協会(https://aheis.jp/
一般社団法人国際人流振興協会(https://ipesa.org/
後援団体日本私立大学協会/全国専修学校各種学校総連合会/公益財団法人日本国際教育支援協会/特定非営利活動法人JAFSA(国際教育交流協議会)/日本私立大学協会/公益社団法人東京都専修学校各種学校協会/公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会/公益財団法人日本漢字能力検定協会/公益社団法人全国調理師養成施設協会/公益社団法人全国経理教育協会/東京都行政書士会/公益社団法人広島県専修学校各種学校連盟/一般社団法人全国外国語教育振興協会/一般社団法人全国製菓衛生師養成施設協会/一般社団法人全国日本語教師養成協会/一般社団法人宮城県専修学校各種学校連合会/一般社団法人群馬県専修学校各種学校連合会/一般社団法人熊本県専修学校各種学校連合会/一般社団法人福岡県専修学校各種学校協会/一般社団法人埼玉県専修学校各種学校協会/一般社団法人東京都服飾学校協会/一般社団法人愛媛県専修学校各種学校連合会/全国工業専門学校協会/一般社団法人全国動物教育協会/一般社団法人香川県専修学校各種学校連合会/一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟/非特定営利活動法人日本語教育研究所/一般社団法人栃木県専修学校各種学校連合会/一般社団法人新潟県専門学校協会/全国語学ビジネス観光教育協会/一般社団法人JP-MIRAI/一般社団法人国際インターンシップ推進協会〔順不同〕

■プログラム

13:15~13:45
(30分)
講演1 テーマ「留学生の受入れの現状と今後の見通し
〈講師〉宮川卓也 氏/文部科学省 高等教育局参事官(国際担当)付 留学生交流室長補佐
13:50~14:20
(30分)
講演2 テーマ「外国人人材への期待と課題
〈講師〉湯下博之 氏/元駐ベトナム大使、元駐フィリピン大使
14:30~16:00
(90分)
シンポジウム「外国人人材と高等教育 ~ポスト留学生受入れ40万人~
〈出席者〉
湯下博之 氏/元駐ベトナム大使、元駐フィリピン大使
池田輝司 氏/公益財団法人日本国際教育支援協会 専務理事
小林光俊 氏/学校法人敬心学園理事長、外国人留学生高等教育協会代表幹事
長谷川恵一 氏/学校法人エール学園総長、外国人留学生高等教育協会副会長
〈進行〉
近藤佐知彦 氏/大阪大学 国際教育交流センター教授、留学生教育学会監事

 

 

▼講演レポート

 

開会挨拶

 基調講演に先立ち、小林光俊氏(外留協代表幹事、学校法人敬心学園理事長)が開会挨拶を述べた。

小林氏はそこで、「少子化・人口減少が続く日本において、外国人受入れと多文化共生社会の実現は重要な課題である。2027年度から育成就労制度が始まり、また全国知事会では排外主義を否定する共同宣言を行うなど、国や都道府県も多文化共生社会の実現に取り組んでいる」と述べたうえで本日のプログラムを紹介し、「外国人人材を取り巻く環境が変化するなか、講演・シンポジウムとも極めてタイムリーな企画。国際交流や多文化共生社会の推進に向けた重要な場として議論を深めていきたい」と期待を寄せた。
 

一般社団法人外国人留学生高等教育協会
代表幹事 小林光俊氏

講演1:留学生受入れの現状と今後の見通し

 最初に文部科学省高等教育局参事官(国際担当)付 留学生交流室長補佐の宮川卓也氏が「留学生受入れの現状と今後の見通し」と題して講演した。

 宮川氏はそこで、2024年の外国人留学生数が33万6,708人と過去最高を記録したこと、出身国・地域は中国やベトナムからの留学生が多いが多様化も進んでいること、等を報告し、「留学生の主な目的は日本での就職や専門知識の習得であり、留学生の積極的な受入れが経済効果や高等教育の国際化に寄与する」と述べた。そのうえで、2033年までに外国人留学生40万人受入れ、国内就職率60%達成を目指すとして、文部科学省が推進する就職支援プログラムや奨学金の充実策などを説明した。一方、課題として留学生の在籍管理体制の強化や地方での留学生定着、大学等において脅威ある国への技術流出等を防ぐ安全保障貿易管理への取り組みを求めた。留学生受入れの拡大を通じて共生社会と国際化の推進を図るため、高等教育機関の役割の重要性が重ねて強調された。

文部科学省 高等教育局参事官(国際担当)付
留学生交流室長補佐
宮川卓也氏

講演2:「第三の開国」により真の国際交流を

 次に、外務省に長年勤務し、駐ベトナム大使や駐フィリピン大使など8か国にわたる在外公館大使を経験した湯下博之氏が「外国人人材への期待と課題」と題して講演した。

 湯下氏はそこで、「日本は明治維新、戦後の高度経済成長と、過去に二度の『開国』を経験してきたが、現在は『第3の開国』が必要とされている」として、人材や文化の交流を通じて国際社会とより深く結びつく「心の開国」を求め、「特に留学生は帰国後も母国における日本の理解者となり、文化的・経済的な交流を支える存在となる」と指摘した。一方で、留学生受入れに関しては課題も多く、学業支援だけでなく日本語教育や生活指導を徹底すること、住居探しが難しいなどの差別の解消に取り組むこと、などを挙げ、「相談窓口の設置や地域行事への参加促進など、地方自治体の関与も含め、生活面での支援や日本人との交流機会を提供することが重要である」との見解を示し、「政府や社会全体で外国人人材の受入れ体制を強化し、多様性を尊重した共生社会の実現を目指すべきである」と語った。

元駐ベトナム大使、元駐フィリピン大使
湯下博之氏

シンポジウム:専門学校が留学生に果たす役割の重要性を認識

 最後に本会の統一テーマである「外国人人材と高等教育の役割~ポスト留学生受入れ40万人~」についてシンポジウムが行われた。パネラーに池田輝司氏(公益財団法人日本国際教育支援協会 専務理事)・長谷川恵一氏(外留協副会長、学校法人エール学園総長)・湯下博之氏・小林光俊氏の4人を迎え、進行を近藤佐知彦氏(大阪大学 国際教育交流センター教授、留学生教育学会監事)が務めた。

 前段の自己紹介を兼ねたプレゼンテーションでは、文部科学省高等教育局にて長く留学生政策に携わった経歴を持つ池田氏が留学生受入れの歴史を解説。1983年の中曽根内閣による「留学生10万人計画」から始まり、2008年の「30万人計画」、現在の「40万人計画」に至るまでの政策の背景や課題を解説した。特に1995年から1998年にかけて発生した「上海事件」による入国管理の厳格化や、ODA予算の制約が留学生受入れ政策に与えた影響について触れた。また、コロナ禍による一時的な留学生の減少とその後の回復状況についても言及した。池田氏は現在の40万人計画について「達成可能な数値である」との見解を示すとともに、留学生受入れ政策が量から質へとシフトしている現状を指摘し、優秀な留学生の定義や受入れの意義について議論を深める必要性を強調した。

 小林氏と長谷川氏は、留学生の指導・支援に関する取り組みや専門学校が果たしている役割について述べた。小林氏は、少子高齢化により、特に介護や医療、保育、IT分野の人材不足が深刻化するなか、専門学校がこれらの分野の人材育成に大きく貢献していると指摘。また、留学生の多くが中流以上の家庭の出自であり、「かつてのように経済的格差を埋めるための留学ではなく、専門性を身に付けるための留学が主流になりつつある」と語った。長谷川氏は、自身の学校運営の経験を踏まえ、「留学生の増加が学校運営において重要な要素となっている」と述べ、特に南アジアからの留学生が増加している現状や、日本語学校と専門学校の連携および就労支援の重要性について言及した。

 後段のパネルディスカッションでは、留学生受入れにおける課題として、入口管理(日本語学校)と出口管理(就職支援)の重要性が論点となり、海外でも日本語能力試験の受験者数が増加していること、また就労目的で来日する外国人が増えていることなどがデータで示された。池田氏は、「日本語学校から専門学校へ進学する留学生が増加している。専門学校が留学生にとって就労へのステップとして重要な役割を果たしていることは明らかだ」と指摘した。長谷川氏は、自校の留学生がボランティア活動を通じて地域住民と交流を深めた事例を紹介し、「留学生が卒業後、日本で安心して働き、地域社会に溶け込むためには、留学生を受入れる専門学校が地域社会との共生を促進する取り組みが必要」と語った。最後に、司会の近藤氏が議論を総括し、「留学生の受入れは、高度人材の育成や日本社会の国際化にとって不可欠な政策」「専門学校や日本語学校が留学生教育において果たしている役割の重要性をさらに広く発信すべき」とまとめた。

閉会挨拶

 本会の締め括りとして、長谷川恵一氏(外留協副会長)が閉会挨拶を行った。長谷川氏は「講演やシンポジウムを通して、日本社会における留学生の価値や、留学生の受入れを促進する重要性が繰り返し語られるとともに、留学生を社会に送り出す専門学校の役割を高く評価していただき意を強くした。セミナーを聞いた専門学校関係者も非常に励まされたことと思う」とパネリストらに謝意を述べ、今後も留学生の受入れ、教育、就労支援に尽力していくと誓った。
 

公益財団法人日本国際教育支援協会
専務理事 池田輝司氏
元駐ベトナム大使、元駐フィリピン大使
湯下博之氏
外留協 代表幹事
小林光俊氏
外留協 副会長
長谷川恵一氏
大阪大学 国際教育交流センター教授、
留学生教育学会監事
近藤佐知彦氏
外留協 副会長
長谷川恵一氏